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「立川談春 新春独演会2016」 [舞台]


「立川談春 新春独演会2016」
1/11(月・祝)
よみうりホール


成人の日。
だから、というわけではないが
きものを着てお出かけした。
きもので都会に出るのは初めてで、ちょっとドキドキ。
何故かというと、落語を聞きに行ったから。
雰囲気づくりというか、カッコから入るというか、そんなところです。

父親が落語好きで、子供のころから
落語の本をよく読まされたり、笑点を一緒に見たりしていたし、
大人になってからは、仕事で知り合う人に
落語好きが多かったので、生で観る機会は今までもたまにあった。
だけど、そのほとんどは寄席もしくは何組も出演する会だったので、
独演会は今回が初めてだ。
しかも演者は、
昨年から各メディアへの出演などが
話題となっている立川談春。
談春さんの新春独演会は、
いまたいへんなプレミアムチケットらしい。
きものを通じて知り合った方にお声をかけていただき、
幸運にも行く機会を得たのです。

**************

演目は「明烏」と「子別れ(下)」。
両方とも落語ファンならだいたい知っている
メジャーなもの、とはいえ、わたくし
ほかの人のをきちんと聞いたことがないので絶対評価しかできない。


“まくら”は、
昨年後半からつづくメディアのお話。
わたしは実は一度も見ていないのだが、
ドラマ「下町ロケット」への出演が好評だったそうだ。
ドラマ出演のエピソードやその感想などを、
自虐を込めてとても楽しそうに語ってくれた。
また、先月28日に放映された
自身の著作のドラマ化である「赤めだか」についても、
もうそれだけでひとネタになりそうなほど、聴きごたえがあった。
こちらはたいへんな豪華キャストで、
嵐の二宮くんが談春、ビートたけしが談志、
香川照之が志の輔を演じた。それについては
周りからおもしろおかしくクレームがついたとか、つかなかったとか。

しかしそれはただの前振りで、
本題の演目に入ると、一瞬で真剣な面持ちになり、
会場全体の空気ががらっと変わって、おおっという感じ。


「明烏」は話の行く末がわかっていても
思わず笑ってしまう、愉快な話。
ドライブ感にあふれていて、
気がついたら物語世界に引き込まれ、
若旦那はじめ登場する人物たちの
小気味よいやりとりを存分に楽しんだ。

対して「子別れ(下)」は、
酒癖と女癖の悪さがもとで離縁した夫婦が
けなげな息子の手回しのおかげで元の鞘に収まるというもの。
せりふの妙を楽しむとともに、息子の一生懸命な姿にほろりとする。
いわゆる“いい話”なんだが、そういうのも悪くない。


今更だけれど、落語ってたいへんな芸だ。
一人で何でもやらなければならないから、
人物の切り替えも場面転換も自由自在。
言葉から想像される世界の広がりを感じさせられる。
登場人物たちの人柄、
彼らが歩く街の様子、出会う人々の様子などなど、
とても自然に映像を思い浮かべることができるって
やはりすごいと思う。
談春さんは、そうした切り替えがとても自然でスムーズで、
緩急のつけ方も見事だ。
良くも悪くも話者を感じさせないとも思ったが、
そこのところを、演者はどうとらえるのだろう。
自身の個性が前面に出るほうがよいのか、
それとも話のおもしろさを際立たせたいのか。
あるいは両方を目指すのか。

古典落語はとくに、誰もが知っているネタばかりだから、
古くからのファンは、いろんな人を聴き比べたり、
その時の調子の良し悪しまでわかったりするものなのだろう。
そんなふうに厳しい目が多くあるなかでも、
連綿と続く芸を全身全霊をかけて伝えていこうとする
人たちに敬意を感じずにはいられない。
身ひとつで物語を表現するとは、
これぞまさにエンターテインメントの極み。

ことし一発目の舞台鑑賞が落語とは、また
思いもかけない出来事でした。
今までまったく知らなかったのだが、
落語がかかる小屋は、都内にも相当あるらしい。
ちっちゃなところで全然知らない人を見るのも
おもしろいのかもしれないね。

IMG_2046.JPG




赤めだか (扶桑社文庫)

赤めだか (扶桑社文庫)

  • 作者: 立川 談春
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: 文庫



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コメント 4

lovin

下町ロケットも、赤めだかも観ました。
談春さんって、若いころ、こんなムボウな感じだったの??って
びっくりしました。(笑)
まだ落語は聞いたことないのですが、聞いてみたいです~。
by lovin (2016-01-15 16:31) 

lucksun

>lovinさん
最近あまりテレビを見ないので
ぜんぜんチェックしていなかったのですが、
「下町ロケット」はとても評判よかったみたいですね。
見ればよかったー、と今頃後悔しています。
「赤めだか」は、ルックスはともかく(笑)、
本人も驚くほどのリアルさだったようですよ。
配役も見事でしたよね。
ダンカンのエピソードには驚いてしまいました。

落語はシンプルな芸ですが、
なかなか奥が深いと思います。
好きになったら、はまりそう……。
by lucksun (2016-01-17 01:12) 

nyonyo

きもので落語いいですね。父親はよく見に行っているけれど私は一度も落語見たことないです~。なかなかおもしろそうですね。
by nyonyo (2016-01-20 05:25) 

lucksun

>nyonyoさん
お父様は落語がお好きなんですね。機会があれば、ご一緒されてみては? おもしろいですよー。
by lucksun (2016-01-21 00:37) 

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