SSブログ

横尾忠則 幻花幻想企画譚1974-1975 [アート]

横尾忠則 幻花幻想企画譚1974-1975
2018/9/5(水)~10/20(土)
ギンザ・グラフィック・ギャラリー

大きな仕事がひと段落して、一息ついた。
そんな折に美術展もしくはギャラリーをのぞいてみたいと思って、
リサーチして目に留まったのがこの展示だ。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)に行くのは久しぶりだった。

横尾さんの作品は常にチャレンジングで、観るたびにはっとさせられる。
今回の展示はその最たるもので、
横尾作品のなかでももっとも前衛的なものと言っていいのではないだろうか。
発表されてから40年以上たつのに、まったく色あせない。
それどころか、観るたびにあらたな発見があるように思える。

今回は、1974年から75年にかけて東京新聞に連載された
瀬戸内晴美(現・寂聴)の小説『幻花』のために描かれた
挿絵を展示している。

物語の流れのままに、あらすじとともに
展示されていて、展開が明確だ。
とはいえ、内容を直接に表しているのではなく
暗喩に徹しているので、どの場面を描いたかまではわからない。
それでも、物語世界を表現するという意味では、
これ以外に考えられないというように、ぴたりとはまる。

登場する人物たちの一筋縄ではいかない心理状況、
時代のもつ不穏な空気までもシンプルな線で描き、
限られた画面のなかに過不足なく表現されている。
なかには、著者の肖像や般若心経の文字のみといったものもある。
しかし、それすらも圧倒的な存在感を放つのだ。
挿絵といえば、基本的には物語に華を添えるものといった印象があるだろうが、
横尾作品はそれにとどまらない。むしろ、
物語をリードしているといってもいいのではないだろうか。

常にあらたな表現方法を模索している
現場に立ち会った気分。
作品が生まれるその場面を見るようにも感じる。

ポスターなどのグラフィックな作品と異なり、
文章からイマジネーションを得て生み出すことの
面白さに満ち溢れている。

こうした作品を無料で観られる至福。
気軽に行ける銀座という好ロケーション。
横尾ファンにもそうでない方にも、
ひとときの幻想的な体験をおすすめしたい。

<ギンザ・グラフィック・ギャラリー オフィシャルサイト>
http://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。