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「野火」 [映画]


「野火」(2014)
FIRES ON THE PLAIN
日本
7/25公開

監督:塚本晋也
製作:塚本晋也
原作:大岡昇平
脚本:塚本晋也
撮影:塚本晋也
出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作


本作は、大岡昇平の小説の映像化。
塚本晋也は20年前に映画化を企画したが、
資金の都合により、実現できなかったそうだ。
それでもあきらめずに思い続け、
このタイミングでの公開に至ったといういきさつに、
監督の強い意思がうかがえる。
戦後70年を迎えたいま、
戦争体験者は年々少なくなっている。
だからこそ、戦争の記憶をつないでいくこと、
忘れないでいることが大切なのだという
強いメッセージがこめられている。


太平洋戦争末期のフィリピン・レイテ島。
田村一等兵は肺を病み、野戦病院への入院を命じられるが、
病院で追い返され、再び部隊に舞い戻ってくる。
ところがそこでも厄介払いされ、行き場を失って
ジャングルをさまよい歩き始めた。

飢えに苦しみ、行く先を見失い、
ただその時を生きるために歩くうち、
田村は一部隊と巡り合い、同行することになるが、
その道は過酷で凄惨を極めるものだった。

攻撃を避けながら歩き続けるうちに
体力を失い動けなくなった人々、死んだ人々。
ほんの少しの食糧を分け合いながら、生き延びようとする人々。
充分な食料をもたない彼らを襲ったのは、激しい飢餓だった。
そのため彼らは生死をかけて仲間同士で争い、果ては
死んだ仲間の肉を食らってまでも生き延びようとする。
極限状況に置かれた人間の狂気。
そのすさまじさは耐えがたい。

空、海、ジャングル……。
田村が歩みゆくなかにインサートされる美しい風景が
凄惨な場面とコントラストをなし、強く印象に残った。
いつもと同じくそこにある美しい自然のなかで、
人間はなぜ、無意味な戦いを止められずにいるのだろう。

映像のインパクトは強烈だ。
心して観に行ったはずだけれど、
思った以上に衝撃を受けてしまった。
だけれど、本作を観ることができて良かった。
どんなことにせよ、知ることは大切だと思っている。


<オフィシャル・サイト>
http://nobi-movie.com/
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