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「グローリー/明日への行進」 [映画]


「グローリー/明日への行進」 (2014)
SELMA
アメリカ
6/19公開

監督:エヴァ・デュヴァネイ
出演:デヴィッド・オイェロウォ、トム・ウィルキンソン
   カーメン・イジョゴ、ジョヴァンニ・リビシ
   ティム・ロス、オプラ・ウィンフリー、コモン


本作は、1965年3月、アメリカのアラバマ州セルマで起こった
血の日曜日事件を題材に、
マーティン・ルーサー・キングJrの闘いを描く。
1988年、「ワールドアパート」
「クライフリーダム」(邦題は「遠い夜明け」)など
アパルトヘイト関連の映画が相次いで公開。
また、1992年には「マルコムX」が公開されるなど、
黒人差別問題に関する映画は一時期とても多くみられた。
しかし、キング牧師の生涯を描く映画は今まで一度も作られなかったそうだ。
血の日曜日事件から50年後の本年、初の映画化となる。


ノーベル平和賞を受賞したキング牧師は、
有権者登録を妨害するアラバマ州での抗議運動に注力していた。
州知事は極端な差別主義者であり、運動は難航を極める。
そんななか、選挙権を求めた人々が
セルマから州都モンゴメリーまでデモ行進を行うが、
警官隊による凄惨な暴力によって制圧されてしまった。
血の日曜日事件である。
そのようすはテレビなどで報道され、全米を揺り動かす。
キング牧師が再びデモ行進を行うため、呼びかけたところ、
人種の壁を越えて全米からさまざまな参加者が集まってきた。
そして群衆は再び、選挙権を求めて歩み始めるのだった――。

本作で描かれるのは、1963年の教会爆破事件から
1965年8月に投票権が成立するまでの一時期である。
ジョンソン大統領の働きかけにより、
1964年に公民権法が制定されたとはいえ、
その後も黒人差別はまったく収まっていなかった。
差別感情の強い南部ではなおさらである。

人種差別の歴史は根深く、簡単には排除できない。
それを非暴力で成し遂げようとした
キング牧師の苦悩は並大抵ではなかった。
運動を進めるため、人々を守るため、そして家族を守るために
ひとりの男として、父親として、牧師として、葛藤を繰り返す。
そうした姿が描かれるにつれ、
キング牧師の人物像がしだいに浮き彫りになってくる。
センセーショナルな事件を題材にしてはいるが、
ここで描かれるのは、そうした最中に苦しみ抜いた人間の姿だ。
史実をひもとくだけでは見えてこないキング牧師の素顔が新鮮だ。

キング牧師のスピーチの場面は圧巻。
なかでもやはり、ラストのスピーチはすばらしかった。
全身を傾ける情熱と言葉の力が心に響く。

人々の心を動かし、社会を変えたキング牧師の軌跡にふれるとともに、
いまだに世界中で廃絶できない人種差別の根深さを思わずにいられない。

<オフィシャルサイト>
http://glory.gaga.ne.jp/
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ミホ

キング牧師ってまだ映画化されてなかったんでしたっけ!というのに驚いています。実際の映像が多く残ってるので、そう思うのかしら。
やはり「I have a dream~」の名演説でしょうか?なかなか映画館にはいけませんが、機内映画の頻度は増えたので観てみます。(邦題が違い過ぎて探せない事があるんですよね~(笑))。
2月のアカデミー賞でジョンレジェンドのパフォーマンスを見ましたが、秀逸でした。音楽の力みたいなものを感じる良い楽曲だと思います。
by ミホ (2015-07-13 22:17) 

lucksun

>ミホさん
わたしも初の映画化と知って驚きました。おそらく、ドキュメント映像を繰り返し見ているせいだと思いますが。
もっとも有名な「I have a dream~~」の演説は1963年なので、
この映画の出来事の2年前にあたります。
今作ラストの演説もとても素晴らしかったので、
機会があればぜひご覧になってください。
原題は、血の日曜日事件の起こった土地の名前「SELMA」です。

ジョン・レジェンドの歌も、熱のこもった誠実な歌い方で
すーごく良かったです。いつまでも耳に残りました。
by lucksun (2015-07-14 12:37) 

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