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「アンダーグラウンド」 [映画]


「アンダーグラウンド」(1995)
UNDERGROUND
フランス/ドイツ/ハンガリー
1996/04/20公開


監督:エミール・クストリッツァ
原作:デュシャン・コバチェヴィッチ
脚本:デュシャン・コバチェヴィッチ、エミール・クストリッツァ
音楽:ゴラン・ブレゴヴィッチ
出演:ミキ・マノイロヴィッチ、ミリャナ・ヤコヴィッチ
   ラザル・リストフスキー、スラヴコ・スティマチ
   エルンスト・ストッツナー、スルジャン・トドロヴィッチ


観たい映画リストにずっと入れっぱなしになっていた作品。
どういうわけか今まで探していてまったく見つからなかったのを、
ふと帰りに寄ったTSUTAYAで発見したのだ。
なにか、呼ばれてしまったのだろうか。


パルチザンに参加したマルコは、激しくなる戦乱を逃れるため、
自分の家族や相棒のクロの妻などを
自宅の地下室にかくまった。
そうして地下にいる人々には武器をつくらせ、
マルコは武器商人になる。
やがて戦乱がやんでもマルコは地下の住民たちにそのことを告げず、
地下の住民たちはひたすらそこでの生活を謳歌する。
そうしてある日、“外”に出た彼らは気づくのだ。
もはや、そこにはユーゴスラヴィアはないと……。

真実なのか、ファンタジーなのか。
ストーリーが進むにつれ虚実入り混じり、
何がほんとうのことなのか判断がつかなくなるが、
たった一つの真実は、
かつてユーゴスラヴィアがあったということ。
彼らの祖国があったということだ。
近現代において、これほど波乱に満ちた
背景をもつ国はそうはないだろう。
悲劇、とひとことで言ってしまえばそれまでだが、
そこに暮らす人々がいたことによって、
それはシニカルなユーモアをはらみ、
喜劇要素が生み出される。

追いつめられた状況に陥ると、思わず笑いが生まれることがあるが、
この作品はそうした状況を
長大な時間をかけて表しているようにも思える。
ファンタジーと相反する現実の苦さと滑稽さを
壮大なスケールで映し出す。
じつはそうした手法が最も、人の人生を描くのに
適しているのではないだろうか。
友情、愛憎、人生への絶望と希望……
人が生きるうえでもちうるさまざまな感情が、
時代の大きなうねりに呑みこまれそうになりながらも
確かな輝きを放つ。
まるで、そこに生きた人々の証を刻むかのように。

作中もっともファンタジックなラストシーンで、
「許すが忘れない」というせりふがある。
このひとことに、まさにユーゴスラヴィアに暮らした人々の
思いが凝縮されているようで心打たれた。

映像の美しさ、ストーリーの巧みさに、
3時間と言う長丁場を忘れる。
ずっとこの映画の世界に浸っていたいとさえ思ってしまった。
カルト的な名作と位置付けられているようだが、
もっと知られてもいい作品なのではないか。
印象的な場面を思いだすだけで、胸が熱くなる。
もしかしたら、この先何度もこの映画を観返すことになるかもしれない。

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