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長い言い訳、あるいは海のマンガ [マンガ]

バンクーバーオリンピック観戦に熱中するあまり、
しばらく更新をサボりました。
今回は実に見どころが多く、中でもやっぱり、
フィギュアスケートにはくぎ付けになったね。
日本人選手が全員入賞ってすごいじゃないの。

NHK地上波とBSばかりザッピングしていたのだが、
何度となく繰り返されるオンエアをじっくり見ていて、
そのたびウルウルしちゃったのが、高橋大輔の演技だ。
大けがを克服して復帰したという
ドラマ性もさることながら、選曲がすばらしい。
エモーショナルなプログラムは彼にとてもよく合っているし、
それを体にしみこませていくプロセスで、
抜群の表現力が磨かれていったんだろな、ということが
演技の端々からうかがえる。
後半、客席にアピールするあたりで、毎度、涙腺決壊。
いんやー、すばらしかった。
これ、映画もすっっっごく好きなんです。
若いとき(15年くらい前)に観たのに、
いまだに強烈に印象に残っています。

道 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー
  • メディア: DVD



それはさておき、春といえば花粉だよ。
今年の襲来は昨年より2週間以上は遅かったようですが
(個人的記録によると)、花粉症患者の方、いかがでしょうか。
ちなみにわたし、キャリア四半世紀を超えるベテラン患者です。
とりたてて対策をせずに、どこまでいけるか、
毎度のことながらチャレンジしてみようかと。
3月前半、まだ軽症ですが、やっぱり気力がなえるね。
そんなときは、ずっしり重い本もあまり読みたくない……。


というわけで、近頃マンガをよく読んでいたのでした。
しかも、海っぺりの街を舞台とした作品を立て続けに。
内容的にはまったく違う2作品だけど、
時間がゆったり流れているところは似ているかもしれない。


『海街diary3 陽のあたる坂道』  吉田秋生 作

『BANANA FISH』『夜叉』といった
ハードボイルド路線とは一転、
鎌倉を舞台に、四姉妹の日々を淡々と描くシリーズ第3巻。
タイトルにある通り、日記といっても違和感のないほど
特別なことはほとんど起こらない。
とはいえ、それは著者の過去作品と比べて、という意味でしかなく、
強大な敵に向かっていく、といったような
目に見える闘いはなくとも、彼女たちは日々闘っている。
思い通りにいかない現実や、
コントロールが効かない自分、届かない思い……。
誰もが抱えている日常も、吉田秋生の手になれば、
独特なくらさと、きりきりと絞り上げるような心の痛みが加わり、
ほのぼのした味わいだけではない深みを感じさせてくれる。

彼女が描くのはいつも、人が心のなかに抱く闇の部分と、
それがどのように育ってきたか、だ。
見た目で判断することがどれだけリスキーであるかを、
冷酷とも思えるほど客観的な目線から警告する。
そんな、少女マンガには珍しい鋭さに惹かれて、
いまだにわたしは彼女の作品を読みつづけているんだと思う。

海街diary / 3 / 陽のあたる坂道 (flowers コミックス)

海街diary / 3 / 陽のあたる坂道 (flowers コミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: コミック



もひとつ。

『海辺へ行く道 夏』  三好 銀 作

朝日新聞のレビューを読んで以来、ずっと気になっていた作品。
本屋で見てみたところ、鮮やかなスカイブルーの表紙が
とてもきれいで、すっかり気に入ってしまった。
海っぺりの街の何の変哲もない毎日を描いているようで、
実際読み進めていくと、妙な違和感に包まれる。
やんわりと、徐々にだまされるような、それでいて
心地よさを覚えるような、不思議な感覚だ。
日常に見せかけた非日常、
あるいは隣人の異常な行動、といった
見えているようで気づかないディテールのような
巧妙な仕掛けが張り巡らされていていて、
いつの間にか街のなかをさまよっているようだ。

描かれる風景は、なんとなく一度だけ訪れたことのある
尾道に似ているような気がした。
登場人物も、妙に癖があって魅力的だ。
夏の間だけランチを売りに来るおばさんが非常に気になった。

海辺へ行く道 夏 (BEAM COMIX)

海辺へ行く道 夏 (BEAM COMIX)

  • 作者: 三好銀
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2009/12/25
  • メディア: コミック



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コメント 4

lovin

花粉、来てるとほんとに人間として機能しなくなっちゃう感じ。
だけど、同じくワタシもあまり対策らしいことはせず。
今年は、、くしゃみ、鼻水っていうか、
頭がおも~~い感じがしてるんですけど、、
単に寝不足??(笑)
by lovin (2010-03-05 01:54) 

bluebird

こんばんは^^
ウチのオットも、四半世紀モノの花粉症患者です^^;
アレルギー鼻炎気味のムスメも、この時期は調子悪そう・・
ワタシは、今のところ大丈夫みたいです

オリンピック、毎日楽しませてもらいました!
高橋選手の演技、素晴らしかったですよね!
何より、滑ることができる喜びに満ちたようなステップは芸術的で、あの表情はグッときました・・
>後半、客席にアピールするあたり
あの、歓声を求めるような仕草でしょう?
あれは泣けます、何度見ても・・

フェリーニの作品は、ワタシも好きです!
大学生の頃、渋谷のシネセゾンでよく観ましたよ^^
レピッシュの「ハーメルン」って曲のPV、あの雰囲気で好きなんです
今度you tubeで見てくださいね^^

・・で、吉田秋生!
知らんかった!
速攻ポチッと押しましたw
by bluebird (2010-03-05 21:31) 

lucksun

>lovinさん
花粉のつらさを分かってくれる人がいて、うれしい!
そうそう、人間として機能しなくなっちゃう感じ、わかります。
なんかこう、やる気出ないんですよねー。
でも去年に比べたらだいぶ楽かな。
あと1カ月くらいはつらい日々が続きそうですから、
お互いなんとか乗り切りましょ♪

>bluebirdさん
ダンナさまもお嬢さんも花粉ですかー。
ティッシュの消費量、増えてませんか??
最近鼻かみすぎて、脳みそ出してる気分になってきました……(笑)。

オリンピック、楽しかったですよねー。
冬の競技って、自分じゃできないものが多いから、
その分選手の人間離れした技に感心することが多いのかも。
高橋選手の演技は、ケガを克服してまたリンクに立てた、
という喜びを本当に感じましたね。
表情も以前とは比べ物にならないほどやわらかくなって、
とてもよかったと思います。
レピッシュの「ハーメルン」、チェックしてみますね!

吉田秋生のマンガは、これですでに3巻ですけど、
ずっと続けていてほしい作品です。
女子なら、四姉妹のうちの誰かにきっと共感できるのではないかと。
わたしは、大酒のみの銀行員かな(笑)。
by lucksun (2010-03-08 00:40) 

lucksun

>xml_xslさん
nice!ありがとうございます♪

by lucksun (2010-03-08 00:41) 

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