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「インサイド・マン」 [映画]

「インサイド・マン」 (2006)
INSIDE MAN
アメリカ

監督:スパイク・リー
出演:デンゼル・ワシントン、クライヴ・オーウェン
   ジョディ・フォスター、クリストファー・プラマー、ウィレム・デフォー

リズミカルなエスニック・サウンドにのって、風景が流れる。
郊外からブルックリン・ブリッジを通ってマンハッタンへ。
途中でメンバーを拾いつつ、目的地を目指す……。
物語の舞台となる銀行へと至るオープニングがカッコイイ。
音楽の選び方、大都会マンハッタンを描写する独特な目線は
まさにスパイクの仕事といえるものだろう。
低い位置から映す通り一遍ではない街の景色に、
スパイクの目には、地元マンハッタンは
こういう風に見えているのか、と驚きつつ感心した。

完全犯罪を企み、人質をとって銀行にたてこもった
犯人グループとNY市警の交渉を緊迫感たっぷりに描く。
事件の経過と、その後の事情聴取を挿入して
事の全貌を明らかにしていこうという構成が新鮮だ。
だが、その裏に渦巻く黒幕の思惑とその理由は今一つはっきりとは示されなかった。

この作品はクライム・サスペンスとして紹介されてはいるが、
わたしの目にはそうは見えなかった。
むしろ、スパイクが過去作品で繰り返し伝えてきたメッセージ、
すなわち人種差別や権力への怒りが各所に立ち表れてくるため、
社会派映画のように思えてしょうがない。
もしかしたらこの点に、本作の問題点があるのではないだろうかと思う。

クライム・サスペンスに挑戦したは良いものの、
やはりNYを舞台にするからには、
日常生活の一部としてある人種問題を描かずにはいられない。
しかもスパイクだから、その点に関する神経はあまりにも敏い。
見る側としては、そうしたシーンに出くわすたび、
「ああ、やはりスパイクだな」と思わざるを得ないのだ。
またデンゼル・ワシントン、クライヴ・オーウェンは良いとして、
切れ者の弁護士として登場する
ジョディ・フォスターの存在価値があまりなく、ぼう然とする。
これだけのネームバリュー、実力をもつ役者を
なんともったいない使い方をすることか。
各登場人物のバックボーンの描き方があまりにも粗雑なため、
薄っぺらな印象を与えているのは否めない。
事件の発端からラストまでの構成が良くできているにもかかわらず、
実に惜しい仕上がりである。
スパイクは何を伝えたくてこの映画を撮ったのだろうか。
もしかして迷走してる?
期待度が高かったばかりに、消化不良の思いが残った。

<業務連絡>
あしたから夏休みをとって旅に出ます。
“マ”のつくところに行ってきます。
無事に帰ってきたら報告します。


インサイド・マン


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ミホ

インサイドマンは面白そうなのに、あまり評判にならなかったような・・・。
デンゼルワシントン好きなので、DVD借りたいな~と思ってたんです。
“迷走”という言葉に、ウムムムム・・・という感じですね(笑)。

マはマレーシアのマかなぁ~。良い夏休みを!
by ミホ (2007-08-31 13:41) 

lucksun

>ミホさん
おっしゃる通り、この映画はキャストも素晴らしいのに、
あまり評判にはなっていませんでしたね。
デンゼル・ワシントンはわたしも好きですよ〜。
スパイク・リーと組んだ作品がすごく好きなので、
この作品も期待したんですけどねえ。
普通におもしろいとは思います。
だけど、なんとなく薄味な気がするんですよね。
わたしの個人的な解釈に惑わされず、ぜひ見てみてください。

ところで、ミホさん大正解です。
マレーシアへ行ってきました。
考えてみればマのつくところってあんまりなかったですね(笑)。

>yukizさん
お久しぶりです! nice!ありがとうございます♪
by lucksun (2007-09-09 01:53) 

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