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ジャズ+タップの熱いライブ! [舞台]

「TAP me crazy!」
10月25日(火) パルコ劇場

7月の公演につづいて、熊谷和徳を観るのは2度目。
今回はタップライブである。

オープニングはDJプレイから。
そこにキーボード、ベースが加わり、
ヒップでファンキーな音が立ち上ってきて、会場を満たす。
そして、熊谷和徳=KAZが客席から登場!
私の席から、なんと目算3メートルの距離。
うわははは、近すぎる〜〜!
ワンフレーズ踏んで、ステージに降りていき、
クールで熱いセッションが始まった。

前回観たときも感じたのだけど、
ジャズとタップは抜群にコンビネーションがいい。
KAZのダンスは、ショー的に観るためのタップではなく、
音を楽しむためのタップだ。極上のパーカッション。
からだ全体が楽器になり、音楽にどんどん表情が生まれていく。

音に酔い、ダンスに興じる。
バレエやジャズ、コンテンポラリーの公演を観ると、
どうしてもテクニックを追いかけてしまうのだけど、
タップは踊ることの純粋な楽しさを教えてくれる。

3人のタップダンサーとのユニゾンは迫力満点。
群舞とソロ、両方の魅力をぞんぶんに堪能できる。
女性のダンサーは、チャーミングで繊細だ。
だけどやっぱり、その中でもKAZのタップはひときわ力強く響く。
もともと渋谷の路上で踊っていたそうだが、
そのノリのまま、たまたまパルコに場所を移しただけ、という感じだ。
嬉しくてたまらないという表情で踊るさまは
まるでやんちゃ坊主のよう。
踊ることがほんとうに好きなんだなあ。
嬉しそうに踊られると、観ている方もどんどん楽しくなる。

スティーブ衛藤のドラム缶パーカッションとのセッションがすごかった。
スティーブはドラム缶を、あらゆる方法で鳴らしてみる。
指先、てのひら、こぶし、関節、足……
からだのパーツそれぞれによって音がちがうのがおもしろい。
そこらへんに転がっているドラム缶だって立派な楽器になる。
これぞまさにストリート・ミュージック!

しまいにはKAZがドラム缶の上で、タップ、タップ!
スティーブは火花まで散らしていた。
これにはビックリ!
さらに驚いたのは、延々と続いたセッションが
何の打ちあわせもなかったということ。
インプロビゼーションの真骨頂である。
次に何が起こるかわからないドキドキ感がたまらない。

ソロパートではタップを慈しむように、
一つひとつの音を確かめながら踊っていた。
そして、照明を落としたなか客席に背中を見せて踊るときは、
タップの歴史を物語るかのようだ。
今この瞬間を、タップをこのうえなく楽しんでいるのが
ガンガン伝わってきて、熱くなった。

ラストはキャスト+ゲスト全員で踊りまくり、
客席はオールスタンディング!
ダンス公演でスタンディングなんて、はじめて観た。
こんなに楽しいダンスがあったんだ、と今さらながら気付かされる。
品良く観るもんじゃない。参加しないと楽しめない。
カジュアルでナチュラル。それがKAZのスタイル。

タップをもっと日本で広めたい、とKAZは言う。
彼のステージを観たら、きっと誰もがとりこになるにちがいない。
ヒップホップが好きなら、ジャズが好きなら、ダンスが好きなら
ぜひKAZのダンスを体験してほしい。
こんなにカッコイイ踊り、なかなか観られないよ。


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タップ! タップ! タップ!! [舞台]

「熊谷和徳 TAP is ALIVE—HOOFIN is My Music—すべてのリズムで踊れ」
7月16日・17日 世田谷パブリックシアター

タップと言って思い浮かぶのは
フレッド・アステアが楽しそうに踏む軽快なステップ。
ミュージカルとして観ることが多く、
タップだけのショーというのは初めてだった。
タップダンスに対する先入観はみごとにくつがえされた。
その動き、表情はとても雄弁だ。
熊谷和徳がタップにかける思いがホール全体にあふれ、
踊っても踊っても物足りないようだった。
そんな場に居合わせることができて、これ以上ないくらいシアワセだった。

音楽ナシで刻まれるステップは、快いリズムとなり、
しだいに音楽を奏ではじめる。
思わずからだが動いてしまうようなグルーヴィなサウンドだ。
また、ドラムス、ウッドベース、ピアノの演奏による
ジャズをバックに踊り始めると、
タップの音はバスドラムになったり、スネアやハイハットになったり、
さまざまな楽器の音を奏でる。
そして、音はどんどん厚みを増し、ひとつの宇宙が生まれる。
ジャズとタップがこんなに相性がよいとは!
スタイリッシュでクールで、だけど情熱的である。

アフリカから奴隷としてアメリカにつれてこられた黒人たちが、
話すことを禁じられたかわりに足のリズムでメッセージを伝えたことが
タップの由来であるという。
当時は、つらいことや苦しいことなどネガティブな気持ちの表現が
メインだったのかもしれない。
だが、熊谷和徳のリズムには、喜びがあふれていた。
生きる喜び、踊る喜び、伝える喜び、そのすべてが彼を踊らせる。
タップは脚だけで踊るものではなかった。
全身が踊りであり、楽器なのだ。
やっぱりダンサーってすごい。
自分のからだだけで感情を、音楽を表す。
そのために日々トレーニングを欠かさず、より多くの人に
より伝わる動きを魅せるためにからだをつくっていくのだ。

ピアノとタップ。
スリーピースバンドとタップ。
タップだけ。
それぞれのシーンにそれぞれの良さがあり、タップダンスの神髄を感じられた。
日本人でもこんなに踊る人が出てきたことをうれしく感じる。
いま、この時代に東京にいて良かった。
さまざまなダンスを観られる喜びを、もっともっと堪能したい。


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久しぶりにバレエを観る。 [舞台]

「愛と幻想のシルフィード」6/23〜7/10
東京芸術劇場・中ホール

演出・振付:マシュー・ボーン

「白鳥の湖」で大好評をかっさらったマシュー・ボーン初観賞!
ずっと観たかったので、ものすごく期待していた。
クラシックを活かしつつ、どこまでくずせるか。
マシュー・ボーンがどんな演出をするのか、興味津々ででかけた。

印象としては、あっさり薄味。
時間も、1幕2幕ともに40分ずつと、かなり短めである。
キャストの数が少ないので、そんなもんかなとも思うが、やはり物足りなさが残る。
しかもですね、ウィル・ケンプが観たかったのに、
私が観た回のメインキャストはアダム・ガルブレイスだった。
イヤ、彼も良いの! でもウィルが観たかったのだよ。

舞台はグラスゴー。
主人公のジェームズはジャンキーの溶接工という設定。
タータンチェックのキルト姿で登場する
ジェームズはなかなかキュートでチャーミングである。
ほかのキャストも女子はミニスカートやスクールスタイルだったり、
全身タータンチェックだったりと、現代風(?)である。
基本はクラシックだけれど、コンテンポラリーをうまく取り入れた
オリジナルのダンスがおもしろい。
ベジャールやキリアンとは、またぜんぜん違う。別物である。
惜しいのは、ダンスシーンが意外にすくないこと。
バレエには珍しく、演技で魅せるシーンが多いのだ。
と思ったのは1幕までで、
2幕に入ってからは、シルフィードたちとジェームズが踊りまくる。
シルフィードは幻想的で美しい。
コミカルな要素も取り入れて、なかなか見せてくれる。
陰と陽の部分のメリハリがものすごく効いていて、飽きさせない。
できれば、もっともっと観ていたかったなあ。

マシュー・ボーンのほかの舞台も観たくなってしまった。
「白鳥の湖」、実は観ていないのでDVDを買おうかとひそかに検討中である。

ところで、東京芸術劇場の中ホールは初体験だったのだが、
ここのホールは比較的見やすい。
ケチってA席にしたのだが、2階席もせりだしなので、
舞台からの距離が近く、ストレスを感じさせなかった。
ちなみに、上野の東京文化会館でケチると最悪だ。
余裕があれば、いちばん良い席をとるのがオススメ。


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