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「草間彌生 わが永遠の魂」 [アート]


「草間彌生 わが永遠の魂」
2017/2/22(水)~5/22(月)
国立新美術館


ここ数年は、アウトサイダーアートに関心があって、
2014年には近江八幡で行われた「アール・ブリュット☆アート☆日本」
にも訪れたのだった。

なぜアウトサイダーアートもしくはアール・ブリュットに
興味を持ったのかは、長くなるので過去のエントリを参照していただきたい。
草間彌生に関しても、アウトサイダーアートの人というイメージがあったのだが、
今回の展示を観て、そのイメージは凌駕された。
精神のバランスをとるために描いただけとは思えない。
彼女自身、確信をもって自身の作品をアートと認識している。

今回は、草間彌生の芸術活動全般を余すところなく伝える充実の展示だ。
前衛芸術家という言葉ではくくり切れない彼女の創作の魅力にふれることができた。

会場を入るといきなり、彌生ワールドが広がる。
2009年から取り組んでいるという大型絵画シリーズ「わが永遠の魂」が
隙間なく展示されためくるめく空間。
作品群はひとつとして同じものがなく、多様性に驚く。と同時に、
ものすごい熱量に圧倒されてしまう。
ほとばしる創作意欲を止められない。
そんな切実な思いがダイレクトに伝わって、なぜかしら泣きたくなるのだ。
無数の目、人の横顔といったモチーフの洪水に酔う。
少し離れてみれば、それが感情に任せて描いたものではなく、
細かに計算を尽くして描かれたものだということが分かる。
補色を意識したインパクトのある作品、
柔らかな色合いでやさしく寄り添う作品などをみるにつけ、
彼女の心にじかに触れたように感じた。
人のために描く作品ではなく、自分のために描く作品は
閉じているようにみえるが、そうした作品こそが
人の心に届き、共感を得るものだ。

個人的には、初期作品が特に心に残った。
デッサン力、色の選び方、構成力、
どれをとってもすばらしく練れていて
完成度が非常に高い。
加えて、模索している心情を如実に映していて、とても愛しい。

また、ニューヨーク時代に描かれたという
キャンバス全体に点を打った作品群も興味深かった。
一見、ただ点を描いただけに見えるが、ずっと観ていると
そのうねりが見えてきて、感情の動きのように思えてくる。

現代アートといえばわかりづらいといって敬遠する向きもあると思うが、
感情の発露としてみれば、非常に自然なものだ。
前衛芸術を追求すればするほど、
巡り巡って原始に還るのではないかと感じた。
ポップな見た目と相反して、揺れ動く心情を映す。
そうした草間彌生の画業を見るにつけ、
人は何のために生きるのか、という問いに還る。
kabocha.jpg
六本木の夜に怪しく光る巨大かぼちゃ

<展覧会ホームページ>
http://kusama2017.jp/




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コメント 2

うつぼ

これ、見に行こうと思ってまだ、、です。( 一一)
国内外、美術館で草間彌生の作品を観て、彼女の世界観を感じるのが
好きな年頃になりましたが、他のアーティストの作品と混じることなく
草間さんの作品だけ見ることで理解がもっと深まると思っています。
by うつぼ (2017-04-16 20:09) 

lucksun

うつぼさん こんばんは~。
年をとるとともに、絵のみかたは変わってきますよね。
特に草間彌生のような前衛芸術は、経験を経てこそ
楽しめることが多いのかもしれません。
金曜日の夜(20時まで)は比較的空いているので見やすいと思います。
ぜひ♪
by lucksun (2017-04-16 22:24) 

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