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「ジミー、野を駆ける伝説」 [映画]


「ジミー、野を駆ける伝説」 (2014)
JIMMY'S HALL
イギリス
2015/01/17公開

監督:ケン・ローチ
出演: バリー・ウォード、シモーヌ・カービー
    ジム・ノートン、アンドリュー・スコット

一貫して労働者階級や移民を取り上げてきた
ケン・ローチの最新作は、
実在した活動家ジミー・グラルトンの生涯を描く。

1932年、アイルランド独立戦争から10年ほど経過し、
ジミー・グラルトンはアメリカから故郷の農村へ帰って来た。
彼は老いた母とともに、穏やかに暮らすつもりだった。
ところがそこへかつての仲間たちが集まり、
以前にジミーが建設したホールを復活させてほしいと懇願する。
ホールとは小さな建物で、農村の人々が
ダンスや音楽、文学や絵画などを楽しむ施設だった。
ジミーの帰還によって、
今ではすっかり寂れて閉ざされたホールがまた
開かれることを人々は心待ちにしていたのだ。
はじめは断っていたジミーだったが、
楽しかった時代を思い出し、再開することを決めた。
また一からはじめ、人が集まりだし、
彼らにようやく笑顔が戻りつつあった頃、
教区の神父がやってきて、
ホールの活動を共産主義に通じるものとして禁止しようとする。
政治的圧力に屈辱を覚えた彼らは、
できる限りの抵抗を試みるのだった……。

緑濃い農村風景とそこで営まれる素朴な暮らし、
かつての恋人や仲間との再会、
ホールでの楽しいひとときなど、
そのすべてが温かくてしみる。
そうした生活こそが最も人間らしいのではないかと思う。
ジミーが恐れたのは、そうした暮らしが失われることではなかったか。
村に訪れた幸せな時間は
理不尽な力によって奪われようとするが、
複雑な世情に翻弄されようとも、彼らの魂は屈しなかった。

ケン・ローチの作品は、
どんなに深刻な状況や切実な思いを描いても、
決してウエットにならず、爽やかな印象を残す。
権力に立ち向かう人々が絶望的な状況にあっても
悲しみにくれることなく、一筋の光を見いだして
心の底に希望を持ち続けているからだろう。

今作も例外ではなく、
決してハッピーエンディングとはいえないのだが、
温かくて爽快なラストを迎えた。
少年少女たちのひたむきな思い、
またそれに応えるジミーの誠実さに胸を打たれる。


<オフィシャルサイト>
http://www.jimmy-densetsu.jp/
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