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『10年後あなたの本棚に残るビジネス書100』 [本]


『10年後あなたの本棚に残るビジネス書100』
神田昌典+勝間和代  

ビジネス書なんて、通り一編読んでしまえば
右から左へ、あっという間にスルーして行く類の本というイメージが、
一般的には少なからずあるだろう。
そんなイメージを逆手にとったこの企画は、
なかなかいいところを突いているのではないだろうか。
ビジネス書というジャンルの本は、
時代や世相を反映する点はもちろん、
思想やノウハウにしても、その時々の流行があるため
本棚にいつまでも残りそうにないからだ。
しかし、日々読み捨てられていく玉石混交のなかでも、
たまに“玉”にあたるものが存在するという。
文芸書を好んで読む人で、ビジネス書にまで手を伸ばす人は
そんなに多くはないかもしれないが、
本書はそういう人にこそ、読むべきビジネス書を選ぶための
良きガイドとなるのではないだろうか。

数多いビジネス書のなかから何を選べばよいかを
教えてくれるのは、いま話題のふたりである。
とりわけ、経済評論家の勝間和代は
著書がベストセラーとなったり、
メディアに出演したりするため知名度は高い。
彼女の言葉には説得力がある。なぜなら、そのほとんどが
自分の経験に基づいて導き出したものであり、さらには
条件や環境に合わせて自らブラッシュアップしたものであるからだ。
明快でブレがなく、ひじょうに分かりやすい。
ビジュアル的にも押しが強いというかインパクトがあるというか、
なぜだか頼りがいのありそうな印象を受ける。

そんな彼女があげる本はといえば、たとえば
『仕事は楽しいかね?』(デイル・ドーテン 著/きこ書房)
『「困った人たち」とのつきあい方』
(ロバート・M・ブラムソン 著/河出書房新社)などのロングセラーから、
『フィンチの嘴』(ジョナサン・ワイナー 著/早川書房)
といった科学書にいたるまで。
「壁を乗り越えたいとき」「あなたの潜在能力を開花させる」
など、シチュエーション別に紹介している。

さらには、本の利点も、シンプルかつ明快に述べる。
いわく、本は「質に比べて価格が安い」「時間効率が高い」
「一覧性に優れていて、かつ携帯性が高い」とのことだ。
本を読む習慣がない人はまず書店に出向くことから始めよう、と
初心者向けにアドバイスもしている。その理由は、
「人間、五感から刺激を受けないと行動に移らないので、まず
手に取ってみることが大事」だとか。なるほど納得である。

神田さんがあげた本にも、興味深いものが多かった。
『モモ』(ミヒャエル・エンデ 著/岩波書店)を
経済書として読み解いたり、さらには
『マーフィー 眠りながら成功する』(ジョセフ・マーフィー 著/三笠書房)を
自己啓発書の古典中の古典として紹介したりする。


ふだん、こういった本を手に取る機会はほとんどないが、
書店勤務の友人にすすめてもらったおかげで、
未知のフィールドを思わず探検してしまった。大収穫である。
今まではビジネス書というだけで
なんとなく構えてしまう傾向があったが、
この本を読んだら、読んでみたい本が何十冊も出てきたのだ。
これでまた書店通いは日々つづく……。
しかし、読むべき本がなくならないというのは幸せなことである。

ブックガイドとしてたいへん役に立つと同時に、
いま活躍する人がどんな本を糧にしてきたか、
その過程をたどることができる。
人の考え方を知るには、
何を読んだか、何を見たか、何を聴いたかを
探ることがいちばんの近道だ。
ふたりのマネをするわけではないが、どんな本を読んで
生き方の指針としてきたかを知るだけでも楽しい。


10年後あなたの本棚に残るビジネス書100

10年後あなたの本棚に残るビジネス書100

  • 作者: 神田 昌典
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2008/10/31
  • メディア: ムック



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コメント 2

bluebird

ウチのオットがこういう本ばかり読んでいます。
神田さんの著書は、とりわけ多いですね。
切り口が、他の人と違って面白いんだそうです。
セミナーにも行っていたような・・・

個人事業なので、色々ヒントを求めているんでしょうね。

神田さんは、音楽や「やわらかい」カルチャーにも興味津々で、視野が広いところがいいんでしょうね。
経済を語ろうという人は、そうでなくてはならないと思うし。
この本、ウチにもあるかもしれません(笑)
by bluebird (2008-11-28 13:35) 

lucksun

>bluebirdさん
お返事遅くなりました~。
ダンナ様は勉強家なんですね。
個人事業主となると、他人任せにできないから
やっぱり日頃からいろんな本を読まれているんですね。
そうそう、神田さんはインタビューを読んでいても、
懐の大きさを感じさせる人だと思いました。
こういうブックガイドを読むだけでも、
凝り固まった思考回路をほぐされたり、刺激を受けたりします。
もしご自宅で見つけたら、パラパラと眺めてみてくださいねん。
by lucksun (2008-11-30 23:48) 

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