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「空白に落ちた男」 [舞台]

 

「空白に落ちた男」
1/14(月・祝)~2/28(木)
ベニサン・ピット
主演:首藤康之
作/演出・出演:小野寺修二
音楽:coba

 

バレエダンサー首藤康之が
パフォーマンス集団「水と油」の演出家とコラボレーションするという。
しかも、ベニサン・ピットという小ハコでというから、
なんとしてでも見逃したくなかった。
いつ行こうかとスケジュールを検討しているとき、
たまたま友人から誘いがあったので、これ幸いと観賞してきた。


初めて訪れたベニサン・ピットは
外観から想像できる通り、昔の建物を活かした劇場。
スタジオも併設されている、ヘンテコな施設だ。
こうした特殊なハコで行われる、
芝居なんだかダンスなんだかよくわからないステージには
否が応でも期待が高まる。
世界的ダンサーをあり得ないほど近くで観られるという点も、
アドレナリンを高める一因であるのは言うまでもない。

 

cobaが手がける音楽が流れ、徐々に暗転。
そして役者が舞台に登場する。
沈黙。
タバコを吸う。
沈黙。

バレエでもなく、マイムでもなく、コンテンポラリーでもない。
敢えて言うなら、そのすべてが融合された
まったく新しい形のパフォーマンスである。
一応ストーリーはあるが、それもあまり重要ではない。
全体を通した大きなテーマを踏まえながら、
コミカルな味わいを添えた
一連のショート・ストーリーで構成されている。

イベント概要では首藤康之がフィーチャーされているため、
(名があるから当然なのだが)
彼が主役なのかと思っていたが、そうでもなかった。
キャスト全員が同じスタンスで、パズルの1ピースのように
パフォーマンス全体において欠かせない役割をもつ。
一連の動作の中で繰り返されるやりとり、
そして1秒単位でバトンを受け渡していくかのような
スリリングなコミュニケーションは、人間技とは思えないほど
スムーズで均一化されていて、一瞬も目が離せなかった。
その一方で、一人ひとりの個性は存分に発揮される。
それぞれがいつか世界を蹴破って飛び出していきそうな印象も受けた。

圧巻は女性キャストによるソロ。
力強くしなやかなコンテンポラリー・ダンスを見せてくれた。
そしてまた、首藤康之のソロ・シーンが素晴らしい。
大きな体をステージいっぱいに広げ、
淡々とステップを重ねる姿は、どこか職人のようでもあった。

巧みな仕掛けを施した舞台装置、cobaの憂いを帯びたメロディーは
ここしかないと思えるほど計算されつくしていて、ピタリとはまる。
ひとことでは表しようのないパフォーマンスに、
しっかりとした筋を一本通すかのようだ。

どこに着地するのかわからないパフォーマンスは
心をざわつかせたが、決して不快ではなく、
むしろ身をゆだねたくなる心地よさを感じた。

このステージの面白さを伝えるのは難しい。
ただひとこと言えるのは、観なければわからないということ。
体ひとつで表現することの凄味、そして生の圧倒的な迫力を
全身に浴びるように味わった。


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淑女

お~。見てみたい。
今年の10月に米倉涼子主演ミュージカルでシカゴをやるらしいので、一緒に行こう!
さすがに、そのころには断乳しているはずなので。
by 淑女 (2008-02-15 09:29) 

lucksun

>淑女さま
あなたもよくご存じのAちゃんと行ってきました。
このステージはすごく面白かったよ。
今年10月頃になったら、すこしは自分の時間ができるかな?
観たいステージなどあったら声かけてね。一緒に行こう。
子育ての合間に心の栄養補給をしましょう♪

>kanonさん
nice!ありがとうございます♪
by lucksun (2008-02-17 02:12) 

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